この記事で学べる事
『損切りしない』『損切り出来ない』が勝ち組トレーダーの条件?!
トレードの教科書を開ければ必ず出てくる『損失を最小限にする為に損切りをしましょう』の一言。これとは真逆の投資戦略で数億円を荒稼ぎしたトレーダーがいました。それも1人では無く相次いで登場しました。キモノトレーダーと言われる人々です。短期間で数億円を稼ぎ出しマイナーであったFX取引を一躍有名にしてくれました。
実際にトレードを経験すると損切りしなければ勝ちトレードになる事が多い事に気が付きます。7割から8割がレンジ相場と言われていますから、一時含み損を抱える事はあってもしばらくすれば、失敗トレードが一転して勝ちトレードになってしまっています。
このような結果を元に『損切りをしなければ億トレーダーになれる』と言う訳です。スワップ運用派の金言です。
このようなトレードを繰り返すと損切りをしなければ、負けないと勘違いしてしまいます。負けないと分かれば、ポジションを大きく取る事で更に利益の積み上げをする戦略を加速させます。
戦略を簡単に整理すると
このような戦略であれば、知識の無い初心者でも簡単に利益を出す事が出来ます。知識もスキルも無い初心者にも関わらず、それこそ資金運用とは無縁の人まで、簡単に稼げるので、労働意欲を無くしてしまい日本の将来を危ぶむ声が多く聞かれ社会問題にもなりました。
スワップ金利も受け取りながら、為替差益も取れる魔法のような手法です。結果として損切り不要で億単位の利益を出すキモノトレーダーが出現してしまったのです。損切り無しのフルレバレッジで初心者トレーダーの方が利益を出している状態でした。
億単位の利益を上げた事案をざっと調べてみても数多くの億トレーダーが出現した事が分かると思います。人知れず稼いでいるのであれば、ニュースになる事もありませんが、短期間で大金を稼いで脱税をしてしまったので世間の知る所になったのです。初心者でも簡単に実践出来る手法であったために第一次ブームの到来となりました。
円キャリートレードとは? スワップ派の黄金期の到来
1999年以降導入されていたゼロ金利政策をきっかけにして、中規模の円安バブルが発生しました。円キャリートレードと呼ばれ、円売りが更なる売りを呼び、2004年から2007年夏ごろまで続きました。ニュースにならずとも、『FXは儲かるらしい』とちまたで噂になり、『そんなうまい話がある訳ない』と論争が起きながら、結果として、多くのFX成金が登場した時期でもあります。
どちからと言うと『損切りをしない戦略』の方が多くの利益を上げる事が出来た時代です。複利運用のメリットを力説して、身の丈に合っていない大きなポジションを持つ事が有効であると言われた時代でもありました。
20年・30年の長期投資スタンスであればスワップが受け取れるので、利益を出せない訳は無いと主張して正当化された時代とも言えます。
歴史が浅い状態での主張ですから、高金利通貨がいつまでも続くとの仮定での主張でしょう。現実には長期運用している間に逆にスワップを支払う可能性も否定出来ないのですが、当時は正当化された手法でした。

多くのスワップ運用の教材は数年の夢物語です。
10年程度の運用が出来れば最長記録だと思われます。多くは数年で退場します。この先も同じ事が繰り返されるでしょう
「日本一ポンドを持つ男」磯貝清明氏の資産推移
その中の一人磯貝清明氏のトレードの略歴を見てみたいと思います。
[2004年]FXの勧誘を受けて、100万円を元手にドルを10万ドル購入。
[2005年]FXの利益が1200万円に。六本木ヒルズクラブに入会。
[2006年]値動きの大きいポンドへの投資に傾斜してFXの利益が1億円超。
[2007年]7月時点で1億ポンドの買いポジションを持ち「日本一ポンドを持つ男」と呼ばれる。資産は10億円。
見事な資産曲線です。倍々ゲームどころか、1年毎に10倍づつ資産を増やしています。どのようなトレード手法だったのかと言うと、クロス円を買い戦略一本やりで、調整局面でもバーゲンセールとばかりに買いポジションを積み上げる逆張りトレードを実践していました。
相場を監視せずに、利益が出ていれば利食い、逆行すれば放置
瞬間的な乱高下に惑わされずに、下がれば買いポジションを取る
含み損があれば、明日は上がってくれとお祈りをして損切りをしない
ハイレバレッジで複利効果を最大限に利用
冒頭の戦略を実践していた訳です。しかし悲劇は突然やってきます。
2007年の夏頃にサブプライムローン問題が表面化し、トレンドの転換を迎えます。買いポジションが積みあがっていた状態がキャリートレードの巻き戻しと相まって悲惨な状態が訪れます。トレンド転換と同時に磯貝氏の資産状況も一変します。
1日に4億円の資産を減らし、2か月後の資産は3000万円となります。10億円の資産が3000万円ですからほぼ全損です。住まいも『六本木ヒルズ』からスクラップ工場の2階の2畳間になったと言います。
3000万円手元にあれば復活する可能性もありますが納税があるので破産です。利息だけで1日5万円になるので、年間で1800万円にもなります。
起訴された罪状 4億5千万円の所得税法違反(脱税)
判決 懲役1年6ヶ月(執行猶予3年)
合計追徴額 2億5千万円
3年間のトレード歴はありますが、『安くなれば買い』以外のトレード手法を知りませんから、値ごろ感でポジションを持ち、安易な逆張り、無計画なナンピンをしたのでしょう。ナンピン手法は危険だと言われていましたが、莫大な資産形成に一役買っていただけに、逆にナンピンで加速度的に資産を減らした結果となりました。
トレンドフォローがトレードの基本
多くの億トレーダーを生み出したトレード手法が成立した背景にはどんな事が考えられるのでしょう。
答えは単純で、たまたまトレードを開始した時期が良く、たまたまトレンドに乗っかってしまったのだと言う事です。ただ運が良かったのはここまでで、最終的には全損をしてしまう悲劇を経験しただけになってしまったとも言えます。
始めにビギナーズラックで勝たせてもらって、最後に全部持っていかれる典型的なギャンブルトレードを実践した結果だとも言えます。
トレード戦略は参考に出来ませんが、結果として資産を激増させた事は事実です。偶然とは言えトレンドに乗る事で資産を増やす事が出来るという一面は参考にすべきだと思います。
トレードの教科書には『トレンドフォローが王道である』とありますが、偶然にも関わらずトレンドに乗る事が出来た結果だと言えます。
歴史は繰り返すと言いますか、2013年を境に再度トレンド転換をしています。アベノミクスを合言葉にインフレターゲットを設定し、大胆な金融緩和措置を取ると表明しています。結果として『クロス円の買い戦略一本やり』が通用する局面ではあります。
トレードの情報が取りやすくなっていますし、トレード環境が整備されてきているので、少なくなってきているとはいえ、スワップ運用派が復活しているようです。
トレンドフォローを意識しながらのスワップ運用であれば問題ありませんが、余力計算のみで相場を勝ち抜こうとすれば限界があると考えています。トレンド転換をした場合のシナリオ作りも必要ですから、損切りポイントも検討する必要があるでしょう。










