プロの投資家はサルに勝てないのか?そんな事があるはずが無い



ランダムウォーク理論とは

ランダムウォーク理論は、『マーケットの値動きは予測する事は不可能である』と理論的に説明したものです。

価格が上がると予測する人と下がると予測する人が同一価格で釣り合う事が条件になります。

その後は、どちらかに動く事になります。どちらかが正解であり、一方は不正解になります。確率は五分五分になる事から、それを無限に繰り返すとランダムな価格変動をする動きになります。

確率が50%になる事象で知られているのは、コイントスがあります。表表表・・・と続く場合もあれば、裏裏裏・・・の場合もあり、当然ランダムに繰り返される場合もあります。それがどのような状態であったとしても、『次に出る目』の確率は50%です。

結果として、未来の予測は出来ないと結論付けているものです

プロが予測できないのではあれば、一般人がトレードで勝てる訳が無い、ギャンブルであると・・・

ギャンブルのイメージはマイナスイメージしか無く、損をする事が前提、節度を持ってやるのであれば・・・一応『可』程度であり、トレードをするのは愚かな行動とされてしまうのでしょう。

じゃんけん大会の勝者と結論づけられる事もあります。スキルの差だと勘違いしているが、運の要素だけで結果が出た事に気づいていない愚か者だと考えられるのでしょう。

勝ちトレーダーは、将来のレートを高確率で予測していると思われがちです。実際に知識が全く無い状態では、同じように考えていましたし、高勝率を目指す事が勝ちトレーダーになる為の必要条件だと考えていた頃もあるからです。

実際には、同じチャートやツールを与えられたとしても、個々の知識や経験によって結果が全く違った物になります。努力の度合いによって結果が変わってくるのですが、運の要素も絡んでくるので、悩ましい問題です。

ランダムウォーク理論、市場効率化仮説も曖昧な部分を排除した場合には、議論の余地は無い

価格の予測は出来ないが、全く予測不能なランダムな動きを寄せ集めると一種の確率計算の可能性が生まれるとも考えられています

この部分は、排除されて論述される場面が多いと思います。

株価の値動きは、どの時点においても長期的にも短期的にも「上昇と下降の可能性」がほぼ同じであり独立した事象であるから、過去のトレンドやデータによって将来の値動きを予測することは不可能である

引用 ランダムウォーク理論

効率的市場仮説の提唱者も3段階に分けて定義をしています。提唱者自身が、完全に効率的だとは考えてはいないのですが、曖昧な部分が排除されて、完全に効率的と結論付けるような内容が独り歩きしています。

曖昧な部分を排除して考えてしまうと、それぞれの理論が完全に成立している事になってしまうので、議論の余地はありません。曖昧な部分を含めて考える必要があるでしょう。

証券の価値に影響を及ぼすと考えられる情報は,正しく,かつ速やかに証券価格に織り込まれる
引用 効率的市場仮説

場合によっては、『サルのダーツを投げ』部分を引用して、プロの投資家も含めてトレーダーを馬鹿にした事を言い出す事もあります。

本当にプロの投資家がサルに負けてしまうのでしょうか?

プロの投資家がランダムウォーク理論を知らないはずはありません。それでは・・・何故、サルにトレードを任せないのでしょうか?

目隠しをしたサルに、新聞の相場欄めがけてダーツを投げさせ、命中した銘柄でポートフォリオを組んでも、専門家が選んだポートフォリオと、さほど大差のない運用成果をあげられる
引用 サルのダーツ投げ

プロの投資家は知らないの?
同じ結果なのであれば・・・サルにトレードを任せた方が良いと思うけど?

プロが優秀である為に、サルに負けたような錯覚が発生する

例えば・・・ランダムウォーク理論を知ったファンドがサルに投資させたとします。

ランダムで価格が決定されるようになります。要するに適正価格の判断が出来ないので、デタラメな価格を付けるようになります。

結果として、適正な価格に瞬時に折り込んでいく事が出来ないので、効率的市場仮説が成立しません。

結果として、効率的市場仮説が成立しないのであれば、ランダム要素が軽減される事になります。適正価格が判断出来るプロの投資家が圧倒的な優位を築く事になります。

結果として、相場の適正価格の判断出来ないサルは市場から退場を余儀なくされます。

効率的市場仮説が成立する条件は、トレードに参加する多くが適正価格を判断する事が出来る状態でなければなりません。そうで無いと瞬時に適正価格に収束されません。

結果としては、プロが優秀である為に、瞬時に適正価格にレートが収束してしまう結果となり、自分で自分の首を絞めている事に他なりません。

トレードがゼロサムゲームからだと言う訳では無く、利益を得る為に必要な努力をした人が、努力をしないトレーダーの投資額を分配する事になります。

正しい方向に努力をした人が少ないので、一部の勝ち組とその他大勢の負け組になると考えています。

○○理論であるとか、有名な学者の名前を引っ張り出して、核になる部分だけを考えて進めてしまうと、偏った結論を導き出してしまいます。その知識体系の本質を考えて、問題解決まで導く事が必要だと考えています。

サルに運用させない理由
利益を得る為に必要な努力をした人が勝つ可能性を得る。誰でも簡単に勝てる訳ではない。

LTCMの破綻に学ぶ・・・有名な理論を鵜呑みにするのではなく、自分で考察するべき

プロの投資家でも某ファンドにカモられた事があるので笑えません。

自分たちが、素人の投資家に『プロが運用するので・・・』と適当な事を言っている事を、自分たちが逆の立場になってカモられたのですから、付ける薬がありません。

「ノーベル経済学賞受賞者が言っているから…」と安易に考えたのでしょう。

有名なLTCMの破綻です。

ノーベル経済学賞を受賞した2人が参加していたファンドなので、何をしているのかを吟味する事無く、アービトラージをハイレバレッジで運用している事を野放しにして被害にあったものです。

アービトラージ自体は、天秤の左右に物を乗せたら、価格差が無くなっていずれ釣り合うだろうと言うものです。乗せる物の重さは関係無いですから、変動リスクを受ける事が無いので鉄板です。『価格差=利益』ですから、暴騰、暴落関係無く、理論上は100%の勝率さえ可能です。

デメリットとしては利益になる部分が薄いので、大きな資本が必要。もしくはハイレバレッジが必要と言う事でしょう。

金融工学を駆使して、様々なリスク商品の適正価格を解析して、下に乖離すれば買い、上に乖離すれば売りを機械的にしていました。理論上は負けないですから、40%程度の利回りをたたき出していたようです。

有名人が実績を出したとなれば、資金は必然的に集まりますが、同時に同じ手法をマネするファンドも増えてきます。初期段階では優位性がありましたが、真似をするファンドが多くなれば、優位性は落ちてきます。

ファンドですから、運用益を出す使命があるので、リスクの高い商品に手を出す必要があったのでしょう。ボラティリティが低くなる方に賭ける戦略が最大の失敗だと言われています。

詰まる所、昨今の『VIX指数の売り』のようなものです。

理論の上では勝てる方法も、実践になれば百戦錬磨のトレーダーの餌食になってしまったと考えられます。軍事評論家が百戦錬磨の軍人に負けたと評された通りです。

戦略としては、下に乖離した場合に買ってくる事が分かるので売りを浴びせる、上に乖離した場合には踏み上げる事になります。要するに逆張りトレードに対して順張りトレードで対抗する事になります。

買いポジションでマイナス、売りポジションでマイナスですから、どうしようもありません。

実践を伴わない理論を狙い撃ちにされただけですが、知識だけでなく、実践も必要不可欠だと言う事を教訓にしたいですね。

○○理論では・・・○○によると・・・など、それを鵜呑みにするのでは無く、

どこが問題で、どこをどうすれば解決出来るのかを理解する必要があります。多角的な面から見ての考察が必須です。その時に初めて知識として役に立つと考えています。

考察が必要
どこが問題で、どこをどうすれば解決出来るのかを理解する必要があります