従業員持株制度に加入していますか?自社株を『空売り』したい私は加入しません。


従業員持株制度は福利厚生の一環では無くなっている

従業員持株制度ってありますか。一定の条件を満たす事が出来れば、インサイダー取引の疑いをもたれる事無く、無条件で購入する事が出来る制度です。一度退会する再加入出来ないなどの条件は設定されていると思いますが、誰でも加入する事が出来る制度です。

毎月、一定額を給与天引きで買い付ける形なので、自分のタイミングで売買出来ない事から、インサイダーにならない合法的な自社株買いです。知識不要で株式市場に参加出来る方法なので、ハードルは非常に低いと言えます。

我々が入社した当時は、証券会社の敷居は非常に高いものでした。特に証券会社を通さずに株式投資が出来る方法として、福利厚生の一環と説明されているかも知れません。

現在では、ネット環境が整備されているので、証券会社の敷居も非常に低くなっているので、あえて福利厚生と説明をされない事もあるでしょう。

多くの企業で導入されている制度なので、株式投資に関心がなくても、身近な問題になっている事だと思います。会社側からすると安定株主が必要ですから、積極的に推奨されている制度です。

従業員持株制度のメリット

1つ目のメリットは、ドルコスト平均法で買い付ける事になるので、目先の株価に一喜一憂する事が無いので精神衛生上良いと言えます。自分の想定と逆行したとしても、特別に何をする事も無く、淡々としていられるので初心者に優しい制度と言えます。

2つ目のメリットは少額から投資する事が出来る事です。通常は100株単位での購入しか出来ず、まとまった資金が必要になります。しかし、毎月一定額を買い付ける事になるので小資金からの投資が可能になります。企業毎に差があるとは思いますが、数千円からの投資が可能になっています。給与天引きになるので貯蓄と同じような効果が期待出来ます。貯蓄の一面があると理解すれば良いと思います。

3つ目のメリットは奨励金がある事です。最大のメリットと言われている事でしょう。出資額の数パーセントが加算されるので有利です。普通預金であったり定期預金と比較して、非常に有利と説明をされている事でしょう。

メリットでは無いですが、一つの評価基準として、管理職になる際には、自社株を持っている事を条件にしている企業もあると言われています。管理職として能力が十分足りている事が条件ですが、自社株を持っている事で会社に対する忠誠心や貢献度を測る意味があると考えられます。

どのメリットも突っ込みどころ満載ではあますが、おおよそこのようなメリットが強調されています。

自社株買いは貯蓄では無く資産運用の意識が必要

総務課が手続きの窓口になるのですが、新入社員の人数が少ない時に何度も勧誘されました。一定のノルマがあるらしく、それこそ毎年のように勧誘されたものです。

今、加入を求められたら間違い無く拒否しますが、入社した当時は『みんな加入するし、貯金みたいな物だからヨロシク』と言われて加入してしまいました。リスク商品に対する知識も不足している状態でしたし、社会人としての常識くらいの説明をされるので、拒否するをする事は容易では無かった雰囲気ではありました。

給与天引になるので、強制的に積み立てていくので、貯蓄の一面はありますが、あくまでも一面があると言うだけの金融商品です。

何よりも私が持ち株会に参加しない最大の理由は、自社株を空売りして億トレーダーになる野望を持っているからです。色々な意味で危険なので、あくまでも野望でしかありませんけれども。。。要するに長期で運用するのはリスクがありますし、自分のタイミングで売買出来ないデメリットは看過できません。

長期の視点に立った場合には、日本経済そのものに楽観をしていないとも言えます。

日本の企業が総じて右肩上がりの成長していくような時代でもありませんし、成熟した経済環境になっていて、大きな成長はする事を望む事は難しい時代です。日本経済がこの先、右肩上がりで成長していく可能性は低いでしょう。自分の会社だけは成長し続けると確信が持てる程、頭がお花畑ではないので、自社株を持つ事はリスクだと考えています。

誰もが知っている有名企業であっても安泰だと言いきれませんし、ましてや我々の会社のように、その他大勢の企業ではなおさらです。

高度経済成長期であれば、どのような企業でも成長出来ましたが、すみ分けがされていく状況になっています。成長する業種もあるでしょうし、業種の中でも強い企業に集約されている状況ですから、長期に投資をしていくはリスクになりえます。

あえて自社株に投資する意味は無くなっています。配当金の多い株、株主優待制度のある株、成長が見込まれる会社の株など他社に投資する選択肢もあります。金融資産において多くをリスク商品で運用する事は避けるべきですが、全く保有しないのも逆の意味でリスクになるでしょう。

しかしながら、その選択肢として自社株買いは無いと考えています。

資産運用は資産を増やす事にあらず、リスクを分散する事が本質

ドルコスト平均法で買い付ける事は長期で投資する事になります。1つの金融商品に集中投資してしまう結果になるので、投資の基本に反する事になります。リスク商品で運用する場合には、商品の値動きの連動を少なくして、リスクヘッジをする事が基本になります。投資先を分散してリスクヘッジをする事が資産運用の大原則です。

自社株買いは貯蓄では無く、資産運用をしている意識が必要になります。資産運用をしている意識を持って、債券であったり、不動産に分散させて、リスクヘッジをします。自社株が暴落したとしても、全体に対するダメージが少ないように、ポートフォリオを組む意識は必須です。

資産運用は資産を増やす事だと理解されがちですが、この部分に視点を置いてしまうとリスクのみが増えてしまいます。未来の事は分かりませんから、何が起こっても良い状態にしておく事が資産運用です。昨今ではデフレ経済だと言われているので、そのような状況においても実質的な資産の目減りを防ぐのもリスクヘッジの1つです。

ドルコスト平均法が有利だと言われて勧誘される訳ですけれども、言われている事を鵜呑みにするのでは無く、勧誘している人が金融商品に対して正しい知識をもっているかどうかを考えてみる必要があります。

多くの場合は会社の方針に従って行動しているに過ぎず、正しく理解していないと考えて良いでしょう。ドルコスト平均法は有利でも不利でもどちらでも無く、購入単価を平均化するだけの意味しか持ち合わせていません。ドルコスト平均法は資産運用の知識が無い社員を勧誘する方法と理解すれば良いでしょう。

奨励金についてですが、一般的に数パーセントの奨励金が加算されます。一部の企業では出資した金額と同額を加算する企業もあるようですが、一般的には5~10%が出資した金額に上乗せされます。

その際には、普通預金であったり、定期預金と比較をして、『すごいでしょ~入らない理由があります?』くらいの勢いで、メリットとして挙げられます。単純に価格変動リスクが無い前提の場合にしか成り立ちません。

このよう比較は全く乱暴で、リスクとリターンの関係が全く無視されています。一般的に結果を予測しやすい方が利回りは低くなる原則を無視しています。

定期預金であれば、1年後の結果は予測しやすいですが、株式の価格変動幅は予測不可能です。

従って定期預金の利回りの方が低く設定されるに決まっているのです。それを同じテーブルで比較してしまうのですから暴論です。

価格変動その物がリスクであって、一瞬で半値になる可能性もありますし、最悪の事態を招いた場合には、紙くずになる可能性のある金融商品に投資しているのです。

普通預金であれば、元本割れをする可能性はゼロですが、自社株の場合は奨励金を加算しても元本割れをしてしまっている可能性があるのです。

これがリスクとリターンの基本的な考え方です。

多くの方が潜在意識の中ではリスクを承知しているとは思いますが、相応の心構えは出来ていないでしょうし、必要性に気づいていない場合も多いと思います。

紙くずになる状態になった場合には、会社の存在が無くなる訳ですから、収入源も無くなり、なおかつ金融資産も同時に失う事になります。

ひとたび暴落が始まってしまえば、どのように行動して良いのか分からない人が圧倒的多数なのですから、闇雲に勧誘するのはいかがなものかと思います。小さい文字で、価格変動のリスクがあります。程度の一文はありますが、その一行はどの程度の意味があるのかを考える必要があるでしょう。

名義の変更をしておく必要がある

バブル期に加入している場合には、目も当てられない状況になっている方も多いかも知れません。昨今のアベノミクス効果で、一気に損失から利益に変わって小躍りしている人も多いかも知れません。人それぞれですが、状況に応じて、どのような対処をするのかはあらかじめ決めておかなければなりません。

このまま上昇トレンドが続くのであれば、持ち続ける選択肢もあるのですが、いずれ下降トレンドになる事も想定する必要があります。あらかじめどの価格で決済するのかをあらかじめシュミレーションしておく必要があると理解すれば良いでしょう。

一旦下落が始まると同水準に戻るまでに数年が必要になる場合があります。数年を必要とするだけで元値に戻るのであれば良いのですが、そのまま下降トレンドから抜け出せない状況も考えられます。長期投資だと自己暗示をかけて『死んだふりをする』以外の方法を知らないのであれば危険すぎます。

会社名義で買い付けされているので、そのままでは決済注文を出す事が出来ません。会社名義からの変更は都度出来るはずなので、単位株になった場合には早めに自分名義の口座に振り替えておく必要があるでしょう。

何があっても良いようにポートフォリオを組む必要がある事もそうですが、いつ何があっても良いように口座の準備も必要です。指定の証券会社が口座管理料を取るようであれば一考する必要がありますが、必要でない場合は迷う必要は無いでしょう。

自分の経験から学ぶ事が出来る

多くの企業ではチャートを見る事が出来ると思うので、1つの目安は提示しておききます。

自分の平均取得単価が現在の価格よりも上にあり、利益が出ているのであれば、安心していると思いますが、一定確率で暴落局面は現れるので、シュミレーションは必要です。

一方、現在の価格が平均取得単価が低い場合には注意が必要です。ある一定水準に到達すると売り注文が殺到して、また長いトンネルに突入する可能性があるからです。『やれやれ売り』などと言われるのですが、戻り基調にある株価の上昇を一旦止めてしまい、逆行する事になります。

例外なく、トレーダーは損はしたくないと考えています。従って自分が損しない価格に到達した時に一気に売り抜けようとする心理が働く事になるからです。

どの部分を見れば良いのかと言うと価格帯別出来高を見る事です。どの価格帯での出来高が多いのか示した指標です。出来高の多い価格帯で一旦株価がもみ合う状況が多く見られます。その価格帯を上抜けると一気に上昇トレンドになる事が多くなります。抜けなければ一気に下降トレンドに戻る事が分かるでしょう。

ベテラントレーダーになるとこの部分から売りを仕掛ける事を狙ってきます。

トレードは集団心理を利用して、稼ぐと言われるのですが、まさにこの状態になります。価格帯別出来高を見る事の重要性を力説する人はいませんが、集団心理を理解するには非常に堅実で分かり易いトレードをする事が出来ます。

レジサホラインは非常に機能するトレード手法ですが、それ以上に機能する指標となります。テクニカル指標を使ってのトレードは敷居が高く感じる事があると思いますが、ここからスタートすると非常に理解が進みやすくなります。

これは特別な知識が無くても、理解し易いトレード手法ですので、理解を深める為にも是非実践してみてください。自分の関係の深い事柄ですから、どのような心理でポジションを取っているのかが分かっていますから、心理状態は分かり易いでしょう。

価格帯別出来高は分かりやすい指標ですので、食わず嫌いをせずにここを入り口にして検証する事が良いでしょう。