これさえ押さえておけば大丈夫。最低限の株式併合の知識



株式併合をする理由は?いつまでに?株価への影響は?

2007年11月27日に全国証券取引所から『売買単位の集約に向けた行動計画』が発表され、売買単位を100株に統一する事を目的とした投資環境の整備が最終段階に来ています。段階的に売買単位の区分を変更していきます。1株、10株、50株、100株・・・と8区分もあります。

2014年4月までに、第一段階として売買単位を8区分から2区分へ1000株と100株に統一、2018年10月までに第二段階として100株に統一する事を目的としています。

株数を10株→1株、5株→1株に変更する事を株式併合と言います。売買単位の区分を変更すると同時に実施されます。

株価にどのような影響があるのかと言うと10株→1株の銘柄であれば株価は10倍、5株→1株であれば株価は5倍になります。急に株価が上昇すれば嬉しいですよね。しかし持ち株数が減っているので保有資産は変わりません。

1000円札10枚を1万円札1枚に交換しただけだと理解すれば良いと思います。理論的には株式の併合や分割によって損得は生じないようになっています。心理的には株価が上がるので良い影響があるのかも知れません。

基本的には、出来高を伴わずに株価の上昇はありません。上昇するにも下降するにも出来高があって初めて大きく動きます。株式チャートを普段見ていない人は株価の急騰と勘違いしてしまうかもしれませんが勘違いなので注意は必要です。

株式併合をすると株価は上昇する
株価は上昇しますが、持ち株数が減少するので、保有資産は理論上変わりません。

統一されるメリットとしては次のような事があげられます。

銘柄同士の比較も容易
最低投資金額を把握しやすい
誤発注の可能性が少なくなる

行動計画が発表された時には、100株区分は35%程度で、1000株区分を合わせても80%程度にとどまっています。額面株式であったため商法の改正が絡んでの問題ですが面倒です。日本市場しか見てなければ、厄介だけれども止む無しとなりますが、海外投資家が増えて来ている現在では改善は必須になります。

売買単位の分布状況

2007 年 11 月(行動計画策定時)

売買単位

上場会社数

比率

100 株

1,402 社

35.6%

1000 株

1,706 社

43.4%

1 株

690 社

17.5%

500 株

82 社

2.1%

10 株

40 社

1.0%

50 株

13 社

0.3%

200 株

1 社

0.0%

2000 株

1 社

0.0%

出典 全国証券取引所

2014年4月には数社を除いて2区分に統合されました。行動計画策定時には1000株単元での取引が標準的でしたが、100株単元での企業の方が多くなっています。理論上は100株単元での取引の方が流動性が増すと考えられるのですが、86%の企業で個人投資家の割合が増えているとの調査結果もあります。理論を裏付けるような結果です。

売買単位の分布状況

2014 年 4 月

売買単位

上場会社数

比率

100株

2,340 社

66.3%

1000株

1,186 社

33.6%

1株

1 社

0.0%

500 株

2 社

0.1%

10 株

1社

0.0%

50 株

1 社

0.0%

200 株

0 社

0.0%

2000 株

0 社

0.0%

出典 全国証券取引所

株式併合をする時には株主総会特別決議が必要

株式併合をした場合にも株主側のする事は得に無いのですが、端株しか持たない株主は権利を失うので、株主総会特別決議で承認を得る必要があります。株主側にメリットは無く会社側にしかメリットが無いので、株主の承認を得る必要があると理解したら良いと思います。

株式併合をする場合には信用力に問題があると認識されている場合が多いのですが、昨今の『売買単位の集約に向けた行動計画』に沿った併合は特に心配をする必要はありません。

理論上は株価の変動は無い
しかしながら投資の定石として、『株式分割は上昇、株式併合は下降』と認識されている事は知識として知っておいても良いかも知れません。
100株単位への移行手続きと会社法上必要となる手続き

1000株から100株のみ実施               取締役会決議
1000株から100株実施と同時に株式併合を実施      株主総会特別決議

株式併合を実施する際に『株主総会特別決議』で承認される必要があるのですが、承認されなかった場合はどうなるのかと言う疑問には、全国証券取引所の回答があったので抜粋しておきます。

 対応しなかった場合、何か措置等が行われるのか。
 現在のところ、実効性確保措置の定めはありませんが、2018年10月1日までには必ず100株単位への移行を完了いただきますようお願いいたします。

望ましい投資単位の水準への移行及び維持に努めることが上場規則上求められている

東証は『望ましい投資単位の水準(5万円から50万円)に努めるて欲しいと』明示しています。株価によって変動するため、範囲を維持することを強制してはいないですが、極力維持して欲しいとの通達です。『まとまった資産が無い人でも投資に参加できるようにしましょう』って事です。

100株単位の売買区分に統一を最優先をする事に加えて、投資水準を下げて個人投資家が参加しやすい環境づくりも同時に実現しようとしています。

バブル時代にはIPO株で一儲けが出来る時代がありました。国営から民営化された時にその動きが顕著でした。

民営化された企業にはJR株、NTT株、JT株などがありますが、公募価格が1株100万円を超えるような状態でした。

NTTを例に上げると公募価格は119万円。ご存知のように当日は売買が成立せず、翌日に初値160万円が付きました。公募に当選すれば初値で売り抜けるだけでも40万円の利益です。1日で出せる利益はまさにバブル景気の象徴です。2か月後には300万円を超える状態でした。素人目にも上昇が期待出来る銘柄でしたが手が出せません。

上には上があって、ITバブル時代の2000年2月ヤフー株の1株価格は1億5千万円を超えました。一般投資家とは無縁の別世界です。マネーゲームと呼ばれるにふさわしい値動きをしていました。

IPO株やヤフー株は極端ですが、現状でも必要最低投資金額が数百万円の銘柄もあります。これらの銘柄の投資水準を50万円以内にしてだれでも参加可能な投資環境整備は必要でしょう。

株式併合銘柄一覧(kabu.com証券)があるのですが、併合比率を見ると10株→1株、5株→1株、2株→1株と3バターンに大別されています。

10株→1株は売買単位の変更と同じ割合で株式併合をしているので、必要最低取引金額は現状と同じになります。

5株→1株、2株→1株の場合は、必要最低投資金額が下がるので、理論上流動性が上がる期待が持てるので、株価の上昇が期待できます。