バフェットは損切りしないから初心者も損切りしない?それ間違ってます!!



経営陣よりもその会社を理解するレベルで財務諸表を読み込む

バフェットは損切りをしない、長期投資トレーダーの神様です。一種の宗教のように崇拝します。我々からしたら雲の上のトレーダーですから、リスペクトするのも理解は出来ます。しかし、崇拝の仕方が間違っています。

天才が1時間努力するのであれば、我々のような凡人は最低でも、その数10倍、数100倍努力をしなければなりません。

長期投資はファンダメンタルを重視する訳ですから、

 財務諸表の基本的知識を身に付ける事
 米国市場と日本市場の違いについて見極める事

は最低でも出来なくてはいけません。テクニカル分析のような視覚的に理解できる部分が無いだけに、相当な労力が必要です。スタートラインに立っただけでは無く、対象銘柄、関連銘柄の範囲までの解析が必要です。

バフェットは

『自分がその企業を相続したつもりで経営陣よりもその会社を理解するレベルで財務諸表を読み込む』

と言っています。経営陣よりも深く、そして論文が書けるレベルまでの解析をするのですが・・・このレベルまで解析していますか?

バフェットはこうも言っています。

『自分の頭で考えて行動しなければならない。ちまたでは、知能指数の高い人達が何も考えずに他人のまねをしているが、あれにはいつも驚かされる』

『FRBがどのような金融政策をとるつもりか教えてくれたとしても、私の行動に何ら影響することはありません』

アナリスト情報やインサイダー情報も必要無いレベルまでの解析をする訳ですから、相当な覚悟を持っての解析です。色々な場面で人任せにするな、自分の頭で考えろ、自分で判断しろ、と繰り返し説いています。

しかし、

現実には凡人トレーダーであるにも関わらず、バフェット以下の時間しか投入していないと考えています。

そして、自分で財務諸表を解析するのでは無く、アナリストが解析した予測値を見て自分で予測したかのように振る舞っています。

自分に都合の良い部分だけマネしているようでは全く意味はありません。大事なのはその理論が成り立つ根拠や背景の方です。

 

イチロー選手を知っていますか?聞くまでも無いですよね。世界のスーパースターですから。

彼を見て、プロ野球選手でマネをする人はいませんでしたが、草野球チームのオヤジさん達がこぞって振り子打法をマネした時期がありました。

理由は簡単で、プロの選手は表面的な見える部分をマネするだけでは意味が無い事を知っていたからです。

マネをしているオヤジさん達は、イチロー選手になれると思ってはいなかったと思いますが、その根拠や背景の方が大切な事に気がつかなかったのだと思います。

ひどい場合は、左のバッターボックスに立つ事もあったようです。全く滑稽ですよね。

バフェットの金言
人任せにするな、自分の頭で考えろ、自分で判断しろ、と繰り返し説いています

バフェット流トレードをするのであれば、財務諸表解析をする必要がある

何故このような事が起こってしまうのかを考えてみたいと思います。

これは『大谷選手』に質問する『幼稚園生』との関係で分かると思います。

幼稚園生が大谷選手に質問します。

『どうしたら大谷選手のように速いボールを投げたり、ホームランを打ったり出来るようになりますか?』と聞きます。

『目標を立てて、それに向かって毎日練習を一生懸命すれば大丈夫です。』と答えます。

答えを聞いた幼稚園生は『毎日頑張って練習します・・・』と大喜びです。練習すれば大谷選手になれると思うのでしょう。

周りの大人も、そう思っていますか?

周りの大人達は『100年に一人の逸材になるには奇跡が無い限り無理だろう』と気が付いているはずです。160キロのボールを投げるのは普通に無理だし、ホームランだって普通の人には無理だと分かるからです。

大人は、大谷選手と幼稚園生の距離感を測る事が出来るので無理だと分かります。幼稚園生はこのような質問が出来ますが、大人はこのような質問はしません。

質問しなくても自分で答えが出せるからです。

ダニング=クルーガー効果の理論で説明する事が出来ます。

能力の低い人物が自らの容姿や発言・行動などについて、実際よりも高い評価を行ってしまう優越の錯覚を生み出す認知バイアス

 自身の能力が不足していることを認識できない
 自身の能力の不十分さの程度を認識できない
 他者の能力を正確に推定できない
 その能力について実際に訓練を積んだ後であれば、自身の能力の欠如を認識できる。

引用  タニング=クルーガー効果

 

要するに、自分の能力が不足していると、自分で無能と分からないと言う理論です。自分の無知を認識できずに、自分を過大評価して自信満々に振る舞ってしまう人です。要するに自信過剰なのに実力が伴っていない事を意味します。

 

幼稚園生は、大谷選手の能力と自分の能力の距離感がつかめないので、質問が出来ます。しかし、大人は距離感が分かるので質問出来ません。

草野球のオヤジさんは、イチロー選手との距離感がつかめないので、振り子打法をします。しかし、プロ選手は距離感が分かるのでマネしません。

初心者はバフェットとの距離感がつかめないのでバフェット×②と言います。しかし、本物のトレーダーは距離感が分かるのでバフェット×②とは言いまません。

 

長期投資が・・・バフェットが推奨しています。

損切り不要論は・・・バフェットが推奨しています。

自分とバフェットの距離感が測れないトレーダーだから出来る荒業です。

要するに言動でその人のレベルが分かってしまいます。

間違っても幼稚園生が『残業キツイわぁ~』とか『社会保険料が・・・』とは言いません。

少なくとも、この発言を聞けば、経済的に自立している社会人以上の年齢の人だと分かります。

バフェット×②と聞けば・・・そのレベルの人だなぁと分かります。

『誰も出来ない事』を『誰も出来ないレベル』まで努力するのがバフェット

長期投資はバフェットが推奨しています。損切り不要をバフェットが推奨しています。と言って誰でも出来る事しかしていせん。買ったら買いっぱなし、逆行したらナンピン買いをするだけです。

アナリストが計算した数値と実績を比較して『上だ下だ。』『上がった、下がった』、バフェットの保有銘柄を見て、『あーだ』『こーだ』と言っているだけです。

こんな事は10年トレードしている人も、参入したばかりの初心者も誰でも出来ます。自称10年トレーダーと初心者の差は、どれだけの含み損を経験したかの違いしかありません。経験の差は少しありますが、スキルの差はゼロです。

ファンダメンタルが重要だと言いながら、ファンダメンタルの分析能力の精度を上げる努力を全くしていません。

自分でファンダメンタル分析の結果を計算していないのに、ファンダメンタルが崩れていないので、

『含み損に耐える事が正解です。こんな状況であれば、バフェットは買いに向かうはずです。そして現在の成績をあげています』とバフェットを持ち出します。

 

財務諸表を解析する事はしていない・・・そもそも財務諸表の基本すら知らない・・・それを学ぶ努力すらしてない・・・

それで、『ファンダメンタルが重要だ』ってどういう事ですか?

ファンダメンタルを正確に計算する事は、初めから出来る訳ではありません。計算した結果と実績値を差を埋める為に、試行錯誤して精度を上げる事をしていかなければ、一向に向上する事はありません。

バフェットが成功しているのは、『誰も出来ない事』を『誰も出来ないレベル』まで出来るので成功している事を知りません。

天才ですら努力しているにも関わらず、凡人なのに努力しないってどういう事ですか?

世間では努力する事は当たり前です。努力したからと言って成功するかどうかは分かりません。しかし成功している人は必ず努力しています。

バフェットは、『人任せにするな、自分の頭で考えろ、自分で判断しろ、』と繰り返し説いています。

マネをしなければならないのはこの部分で、バフェットの保有銘柄をマネする事ではありませんし、損切り不要の買いっぱなしをマネするのではありません。

幼稚園生には見えない世界を大人は見る事が出来ます。理由は簡単で、失敗と成功の経験を沢山しているからです。

ゲームばかりしている子供にも『勉強して、運動して、友達作って、無駄遣いしないように・・・』とその都度適切なアドバイスをする事が出来ます。

バフェットに見える世界を、素人は見えていません。

何の努力もしないで、振り子打法をしているオヤジさんがいます。そして『イチロー選手のすごさ』を力説している姿があるとします。

あなたにはどう見えますか?

バフェット流投資法はポートフォリオを組んでリスクヘッジするしかない

長期投資をしているトレーダーは損切りが出来ません。従ってポートフォリオを組む事で、リスクヘッジをする必要があります

一般的に分散投資を推奨されます。『すべての卵を一つのカゴに入れるな』を実践する事です。この内容は誰でも知っているので割愛します。

しかし、バフェットはこのように言っています。

『分散投資は無知に対するヘッジだ。自分で何をやっているかわかっているものにとって分散投資はほとんど意味がない』

額面通りに受け取れば、一般的な分散手法では無く、『集中投資せよ』と読めます。

行間を読めば、『何をやっているか分からない投資家は分散せよ』と読めます。要するに、集中投資をして良いのはプロだけだと読めます。

自分はどのレベルだと判定する事によって、全く違うトレードになります。『自分は何をしているのか分かっている』となれば集中投資です。

バフェットが『分かっている』をどのレベルに置いているのか興味がありますね。

バフェットは損切りをしない事を前提にトレードしている事は知っていますが、それを個人投資家レベルで実行して良いのかと言えば、そう思いません。

バフェットが天才的な銘柄選定能力があるので、損切りをしない事を前提でいる事は理解していますが、凡人が選定した銘柄も同じように損切りしなくても良い銘柄と判定するのは無理があると思います。

ナンピン買いを推奨している事を公言していますが、有り余る資産があるから出来る事を忘れてはいけません。

バフェット位になると損切りしなくても資産効率が下がらずに運用出来る事は容易に想像できるので、それをマネする事は出来ません。

我々のような限られた資産であれば当然損切りが必要です。間違っても資金を拘束されるような事は避けるべきです。