個人投資家の利益率が機関投資家の利益率が上回るのはなぜか?


個人投資家の年利20%超が意外に多い理由を探る

一般的にトレードの成果を考える時に、年利で評価されます。基準となるのがバフェットの年利20%です。トレード経験の有無を問わず知っていると思います。

必然的に、『バフェット=すごい』『年利20%=すごい』の方程式が作られていると思います。

自分も知識が無い時には、同じように考えていました。

一方で個人投資家の運用益が年利20%以上の結果を目にする事があります。20%どころか、100%、200%・・・自己申告の数値なので、額面通りに受け取れないケースもありますが、意外に多い印象です。

トレード対象が外国株、日本株、FX・・・様々なので、単純比較は出来ませんが、比較の目安にはなります。世界のトレーダーと個人投資家の比較なのに、逆転現象が起こると不思議な感じがします。短期だから、長期だから、と言うようなトレード期間に依存する訳でもありません。

複利計算をすれば、億を超える資産運用が可能ですし、そのようなトレーダーが存在するのであれば、間違いなく有名人になっているはず・・・と考えていました。

ただ、自分が安定して利益を出せるようになると、この逆転現象が理解出来ます。数字のマジックによるもので、印象による誤解が生み出した勘違いです。

バフェットの年利20%は大したことないのか?と聞かれれば、想像出来ないレベルで難しいと思います。

バフェットの20%はすごいならば、一般人の20%もすごいのか・・・と聞かれると『場合による・・・』が答えになります。

年利20%を検証する

運用資金が10万円だったと仮定します。

10万円を年利20%で運用すると・・・2万円の利益が出せます。2万円を1ヵ月の利益に換算すると1666円。イメージとは違い簡単に達成出来ます。それこそ1日でも可能な金額です。

少ない金額で運用していると、キャッシュポジションに対する割合が高いので、運用利回りが大きくなります。運用金額の少ない初期段階であれば必然的に運用利回りは高くなります。特にFXの場合はレバレッジが効くので、大きくなりがちです。

実践経験が少ないと『年利20%はすごい』このイメージのまま評価する事による弊害です。

空論をする事による勘違いも生まれます。

 1600円は、数分で利益になったから、時給換算すると2万円です
 年利にすると、1600円×30日×12か月です。57.6万円です。単純に570%の運用益です

このように皮算用すると、勘違いが泥沼化しやすくなる危険性が高くなります。

実際の取引は1回にも関わらず、都合の良い計算をしています。それが続く事を前提にするので異常値が出てしまいます。『率』の計算は意味を持ちません。

利益率で考えると数字遊び感が出ますし、数値を並べられると勘違いが発生しやすくなります。

個人投資家は相対的に運用資金が少ないので、年利20%は予想外に簡単です。初期段階では、普通にトレードしていれば可能な数値であり、特別な手法が必要でも無いですし、トレーダーとして優れている訳でもありません。

 年利1%でも1億稼げるトレーダーもいる
 年利100%でも10万しか稼げないトレーダーもいる

運用資金によって稼げる金額が全く違います。資金によって年利〇〇%の意味が全く違うので、利回りの大きさでトレードの成果を測れません。利回りが『低ければ正解』でも『高ければ正解』でもありません。

運用資金を加味した年利の評価でなければ意味がありません。資金の小さいトレーダーが機関投資家の利回りを上回る事は異常値ではなく、年利100%超は普通にあります。逆に大きすぎる資産で年利100%で運用出来ないでしょう。

年利100%を超える運用は可能だけれども、ある程度までの限定利回りである・・・と言う結論になります。個人差があるので、適正値は変わってきます。トレード経験を積み重ねて、成長する事で大きくなる一面もあるで、状況に応じて個々で決める必要があります。

必然的に倍々ゲームは出来なくなるので、資金が大きくなれば利回りが下がるのは必然です。

しばらくすると矛盾が生じる事になります。

年利100%で運用を続けると、雪だるま式で資産が増えて行くので、10万・・・20万・・・40万・・・いずれ大きな金額になるはずです。

始めは『無くなっても良い少額』での取引でした。しかし、安定して勝てるようになると、利益が積みあがので『無くなっても良い少額』ではなく、『無くなっては困る金額』に変化してしまいます。

相対的にポジションが小さくなる事も要因ですが、平常心でトレード出来ない精神的な壁が出来ます。

やるべき事をやって安定して資金を増やせるトレーダーになったとしても、自分の身の丈に合った金額でトレードするようになります。どれだけ努力しようと、自分の器を超える金額は扱えません。

平常心でトレード出来ない金額を扱うと、本業に集中出来きず、トイレでこっそりチャートを眺めるようなトイレーダーになるかも知れません。ポジションが気にやるようであれば、身の丈に合わない金額を扱っているか、基本的なスキルが不足している事が原因です。

膨大なデータの検証結果のベースの上に構築されているのが基本

トレードの感覚は、一般の感覚では測れない感覚があります。『勝てるのであれば、そのまま続ければ良いだろう』このように考えると思います。

この平常心でトレード出来ない感覚は、リスク商品をトレードしている場合に生まれる感覚で、損切りを繰り返したり、逆行するチャートを目の当たりにする経験をしないと分からない感覚です。

一度大きな失敗を経験しないと見に付かないスキルで、精神論でなんとかなる物でもありません。

『売買ルールに優位性、再現性があれば、資金がいくらであっても違いは無い。出来ないのであれば、実力が無い』このように考える人もおられるでしょう。一見理屈が通っているように思えますが・・・

実践を伴わない空論だから可能に思えるだけで、実際にはメンタルの影響を受けるので出来きません。このように考えるのは危険な感覚で、一回の失敗で致命傷を負う発想です。

良くたとえられるのが、地面に引いた直線を渡る感覚で表現されます。

地面にある直線であれば、問題無く歩けますが、地上1メートルになれば、バランスが取り辛くなります。これが10メートルになれば、正気では渡れません。更に高くなれば、立つ事すら出来なくなるでしょう。

地上であれば出来る事が、高さに比例して難しくなります。10万円では出来た事が100万・・・1000万になれば出来なくなります。

安定して勝てるトレーダーは、この感覚を持っています。

この感覚が壊れていて、致命傷を負うまで、倍々ゲームをしてしまうトレーダーもいます。無理なロットでトレードしているので、目論見が外れると一瞬で退場です。

長く生き残っているトレーダーは倍々ゲームの感覚は例外なく経験しています。そして、『ロットを抑えたトレードをしましょう』『無くなっても良い金額でトレードしましょう』としているのが基本です。

膨大なデータの検証結果のベースの上に構築されているのが基本で、色々な角度、価値観から生まれた、勝ち続ける必要条件になります。

トレードするロットの増減を決定は資金管理に位置づけられ、重要なスキルの1つとされています。ロットの大きさは機械的に決められるのでは無く、メンタルな部分も含めて考えて意味を持ちます。

運用資産が違うのであれば、単純に比較できる物では無く、『年利20%がすごい』この条件が独り歩きをして誤解を生んでいると考えています。