この記事で学べる事
高金利通貨で運用するメリットに目を奪われてしまい表面的な理論に翻弄されてしまう
古今東西スワップポイント狙いでトレードをする事で利益を上げる事が有効であると力説されるサイトが非常に多いと思います。公式サイトを見ても必ずスワップ金利の比較表があります。それぞれの取引業者のスワップポイントの比較表が必ずあります。サイトに訪れる多くは初心者ですし、スワップポイント目当ての初心者が多いのも事実でしょう。
初心者であってもベテラントレーダーであっても全く同じ結果になります。知識不要でほったらかし、こんな楽なトレード手法はありません。短期で稼ぎたい人には不向きですと注釈がある程度で強制決済されない限りは利益を得られそうな錯覚をしてしまいそうです。
注意する事はたった1つ。強制決済されないように実効レバレッジの管理をする事。おおよそ2倍から3倍程度の低レバレッジ運用を心がける事でリスクを限りなく少なくすることです。。。と
トレード経験の有無を問わず再現性100%のトレード手法です。
誰でも簡単に出来る方法なのですが、国内では成功者がいません。もちろん数年単位ではいますが、10年以上の経験をもつ成功者はいません。
個人に解禁されてから20年程度の歴史しかありませんし、2007年に一層されています。
経済学の常識から外れるので、実行するのは簡単ですが、『結果を出す』『成功する』となると非常に難しくなります。
長期運用であれば、利益が出せると本気で信じて、ここまでの下落であれば強制決済されないと計算しているサイトも数多くあります。複利運用の効果を力説しているサイトも同類と考えます。
発想は非常に単純で、高金利通貨を長期で保有して細かく金利を積み上げる、そして複利の力を利用して資産形成をすれば良いと考えるのでしょう。目先の上下に惑わされず、知識不要なのですから、楽して稼ぎたいトレーダーの心を”わしづかみ”です。
しかし時間の経過と共に貨幣価値は変化する事を考慮しなければなりません。貨幣価値を固定して検証を進めてしまう事が問題です。要するに前提条件が間違っています。
数年周期でスワップ長者が誕生し、そして退場する悲劇が幾度と無く繰り返されています。皮算用の最たる物で、非常に大切な理論が抜け落ちています。
スワップポイントの誘惑に負けそうになったら『購買力平価説』に目を通してからにすべし
高金利通貨のスワップのみで見れば魅力的に映るかも知れませんが、高金利には高金利の理由があります。その際には購買力平価説を学んでからにしましょう
結局は両国の価格競争力の変化を反映しながら、経常収支が均衡するように為替相場は変動するということを意味する。より物価が上昇し、価格競争力が低下した国の為替相場は、その分下落するというわかりやすい考え方である。
経済学の常識インフレ率が高い=通貨価値が下落引用 購買力平価説
一言で言えば、相対的に貨幣価値が下がるので下降トレンドになると言う事です。高金利ならばインフレ率も高くなります。貨幣価値がどんどん下がっていく事になるので貨幣価値が相対的に下がっていく事を意味します。
従って経済学的には高金利通貨は下落するのが常識とされています。常識通りにならないのが為替相場の世界ですが、長期運用になった場合には理論通りの結果になります。
高金利通貨を長期で保有する事によってスワップポイントを得る事は出来ます。しかし、為替差益との相対になるノイズ程度にしかなりません。
長期運用をすればするほど、相対的に貨幣価値が下がっていく通貨を長期で保有する方法を取るのですから、非常に厳しい結果が待つと想定されます。仮の話になりますが、スワップが無ければ、売りポジションを持って長期放置の一択だと思っています。
目先のスワップ金利に目を奪われて、下降トレンドに逆らって買いポジションを取る事になります。直近の値動きには目もくれず、長期運用を目指しているのですが、長期運用になればなるほど下落しているので悲惨な状況になります。長期的には為替差益で大損します。
ガチホと言われる手法で知識不要ですから、誰にでも実践する事は可能です。しかし、残念ながら誰でも出来る方法に優位性はありません。
下降トレンドと言っても一気に下がるのでは無く、大きく下落して一旦持ち直しの繰り返しなので、その都度退場者を巻き込んで下落していく事になります。大きく下落すれば、多くの退場者が出ますが、値ごろ感から新たに初心者が参入してくるので、同じ事が繰り返される事になります。
そもそもスワップポイントに目がいってしまうのは、トレンドフォローを理解していないから出来る事なので、失敗する事もやむを得ないでしょう。理論通りに動かないのが為替相場ですが、高金利通貨は下落トレンドは簡単な常識なので覚えた方が良いでしょう。
利上げ観測されると円安方向に進むのは何故
経済学的には高金利通貨は下落するのが常識と言われていますが、全ての場合に当てはまる訳ではありません。直近で言うと豪ドルの利下げが発表されました。常識的には長期金利が下落したので、経済学的には上昇するはずです。しかし一気に数100pipsの下落になりました。セオリー通りにならず、長期でガチホを決め込んでいたスワップ運用をしているトレーダが悲鳴を上げているのがTwitterで散見されます。
同様に米国の利上げ観測がささやかれると円安方向に急上昇しています。セオリー通りに進まず逆行しています。短期・中期においては必ずしもセオリー通りに進まない事もあります。
多くの場合は材料を織り込んでいるはずですが、短期的には金利目当ての投資家が参入するので、一時的に高金利通貨が買われる事もあります。しかし長期的には下落トレンドに収束されていきます。
長期的に高金利通貨を買う事は出来ませんが、為替差益狙いで高金利通貨を短期でトレードする方法もある事は頭の片隅に入れておく必要があります。
多くの場合はこの短期・中期の部分で、スワップ運用をする事が可能になっています。ここで注意したい事は、儲かった投資方法が正しいとは限らないと言う事です。
一時的ではありますが、数年単位で利益を積み上げる事は出来ます。利益を積み上げたのだから正しいと主張しているに過ぎません。実際に利益を積み上げているかも知れませんが、単純に運が良かっただけと言う場合もあります。
スワップ運用を実践した。利益を積み上げた。だから正しいと言うのでは無く、偶然にトレンドに乗ってしまっただけの場合もあります。
トレードの場合は少なからず、運の要素が絡んできてしまいます。結果として利益を積み上げたけれども運の要素が大部分と言う事もあるのです。
要するに、短期・中期的には正しいトレードだとしても長期的には正しくないトレードの場合もあります。逆の場合もあり、短期・中期では正しくない方法かも知れないけれども長期運用では正しいとなる事もあります。
ハイレバレッジで損切りをしない方法で莫大な利益を上げました。そして退場していったのが一例です。損切りのスキルを付ける事なく相場で生き残る事は出来ません。
老後の資産運用としての外貨運用をしてはいけない
まず考えなければならないのは、10年後もその方法が使えるかどうかを見極める必要があります。少なくても長期で高金利通貨で買いポジションを取る事は選択肢としてありません。
『貯蓄から投資へ』と言われて久しいですが、最近ではこのような勧誘をされるようです。
日本は少子高齢化で国力低下するが避けられないので、長期的には円安傾向になります。外貨に投資するのが賢い資産運用です。と最もらしい事を言われるようです。お決まりの定期預金の利率との比較で優位性を強調する方法です。
スワップポイントは金利を受け取っているので、貯蓄と同様に利子を受け取っている場合と同様・同等と錯覚してしまいます。リスク商品の知識が無いのに加えて為替リスクの怖さを知らない人を勧誘するのは慎むべきだとは思いますが、勧誘する方も仕事なので仕方が無いと言う事でしょうか。。。
定期預金であれば、長期放置で良いですが、外貨運用は為替リスクも追加される事を肝に銘じておく必要があります。
1年後に受け取ると仮定した場合、高金利通貨はインフレが進行しているので、通貨価値は下がります。見かけの金融資産は増加していますが、通貨価値が下がっているので、日本円に変換した時には通貨価値が下落している事を意味します。
投資に限らず、全ての事に言えるのですが、失敗から学ぶ事は非常に多いと言えます。スワップ運用は長期に渡ってのトレードになりますから、失敗の経験をする回数が非常に少なくなります。経験を積めないだけでは無く、失敗をしたとしても取り返す時間も少なくなってしまっています。失敗したと気が付いた時にやり直しが効かない状態は避けなければなりません。
スワップ運用は低レバレッジが基本ですから、一発退場と比較すると金額ベースでも致命傷を負ってしまっている可能性が高く、期間も資産もやり直しが効かなくなってしまいます。